選挙制度

2007年12月12日開始

自民党は、次回総選挙では公認で「勝てる候補」を優先するということで、いわゆる「小泉チルドレン」の立場が厳しくなっているそうだ。

この問題、マスコミ的には、郵政選挙で国民に民営化を支持する選択肢を与えるという名目で立てられた候補者たちを、自民党の有力者が使い捨てにするとか、しないとかいうことで話題になっている。

しかし、チルドレンを公認しなければ改革後退という印象を与え自民党に不利と考えるのは（、同時にその反対として、チルドレンを公認することが改革志向のイメージとなって自民党有利と考えるのも）、単純過ぎると思う。

下で紹介しているアメリカ人政治学者の言うとおり、小泉は自らを自民党の敵として演出したから勝てたというのは、この問題でも非常に有効な洞察であると思う。

2001年参院選：　小泉ブームで与党勝利。

2003年衆院選：　与党辛勝で野党躍進。

2004年参院選：　安倍幹事長でも（だから？）自民過半数割れ。

2005年衆院選：　郵政選挙で自民圧勝。

このように小泉政権下の４回の国政選挙で小泉が勝てたのは、いずれも党内の抵抗勢力と闘っているというイメージを作り上げることに成功したから、という解釈は、かなり説得力あると思う。

次の衆院選でも、チルドレンが保守的な執行部と闘っているという印象を国民に与えることができるなら、たとえ公認されなくても無所属で立つことができれば当選する可能性は高い。

そこで、公認しなければ無所属で立つだろう候補は、あらかじめ公認しておいた方が自民党にとって有利と、とりあえず考えられる。

2005年の大勝のおかげで、空白区というのは少ないが、そういう候補をそこに配置するべきだ。もともとチルドレンは落下傘候補で、選挙区とはそれほどの地縁はないのだから、知名度の高い候補なら国替えさせてかまわないだろう。

「チルドレン・ピンチ」ということでテレビでさんざん映される候補は、だいたい「勝てる候補」だ。だから、何らかの形で公認されるだろう。元の選挙区か、国替えか、比例代表かはわからないが。

現在、あまり知名度のない候補でも、非公認で立てる候補は、公示後、マスコミがクローズアップするはずである。その結果知名度が高まって当選、という可能性は高い。だから、いずれにしても立候補すると予想される候補は公認されるだろう。

ところが、話はここで終わらない。

>次のは、ちょっと有用だが。
>
>http://oshiete1.goo.ne.jp/qa882408.html
>
>要するに、有権者は死票を避けようと行動するから、
>小選挙区制ではいずれ二大政党制になる、というだけの話です。

この中央大学教授であるアメリカ人、
なかなか面白いこと言っている。

http://www.fps.chuo-u.ac.jp/~sreed/

http://www.fps.chuo-u.ac.jp/~sreed/DuvJp.pdf

The question of what the DPJ need do to unseat the LDP is an oft discussed topic. My answer is simple: all the DPJ need do is to stay intact and remain the sole alternative to the LDP.
（中略）
He (Koizumi) won big in the 2001 upper house election and also in the 2005 general election but he lost the 2003 general election and 2004 upper house election. The difference between his wins and his losses is clear. He wins when he can present himself as the alternative to the LDP or as the leader of a “new LDP”, like Tony Blair’s New Labour, running against the old guard inside the LDP. The DPJ’s main claim is that it is the alternative to the LDP. If
the LDP can appear to be the alternative to itself, there is little or nothing left for the DPJ to do. Koizumi accomplished this rather amazing trick twice.

要するに、民主党は何でも反対を貫け、ということです。
そうすればいずれ勝利する、という話。
小泉だって、４回の国政選挙のうち２回は負けている。
過去小泉さんが勝利した２回は、いずれも、自分自身を自民党の敵として
演出したからだというのです。